かずたんの旅行記

旅行記を書いていきます

阪神18きっぷ旅 〜前編〜

2019年3月、私は友人と東京からひたすら在来線を乗り継ぎ、大阪・神戸を目指す旅行を企てた。

 

1. 汽笛一聲新橋を

 

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東京駅。神戸まで伸びる東海道本線の起点である。

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これは、ゼロキロポスト。ここが東海道本線東北本線の起点である証だ。

有名な鉄道唱歌ができた時、東京駅はまだなかったため、起点は新橋となっていた。1番の歌詞は

 

汽笛一聲新橋を はや我が汽車は離れたり

愛宕の山に入りのこる 月を旅路の友として

 

だ。私が旅を始めた時間は午前10時。視界に月はいなかったが、ここから先はこの歌を共にして西を目指そう。東京駅には、快速アクティー熱海行きが到着した。

 

列車は工事中の高輪ゲートウェイ駅の横を通り、品川に到着。はやくも東京都内最後の駅である。

 

多摩川を越え、川崎に到着。横浜、戸塚、藤沢と停車し、快速アクティーでは数少ない通過駅である辻堂を通過した。蛇足だが、鉄道唱歌で出てくる「横濱」駅は現在の桜木町駅である。

 

列車は湘南の海岸沿いを走る。まだ3月なので、さすがに海水浴をする人などいない。海水浴といえば大磯であるが、この列車は大磯を通過した。

 

列車は大きな駅に到着した。国府津だ。ここから先、鉄道唱歌は現在の御殿場線に入る。これは、御殿場線が当時東海道本線だったからだ。

私はこのまま東海道本線を通るため、しばらくのお別れとなる。

 

国府津おるれば電車あり 酒匂小田原とほからず

箱根八里の山道も あれ見よ雲の間より

 

国府津を発った列車は、鴨宮を通過し小田原に到着した。到着前に新幹線の乗り換え案内があった。東京駅を経ってからここまで、何本の新幹線に抜かれたのだろうか。そして、ここから先何本の新幹線に抜かれるのだろうか。

 

小田原から先、快速アクティーは各駅に止まる。途中の根府川駅はサルが出ることで知られているが、この日はいなかった。この区間からトンネルが多くなる。湯河原駅を越え、次は終点熱海。トンネル内で県境を跨ぎ、静岡県に突入した。

 

JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。

 

ここで、JRも東日本から東海になる。

 

2. 熱海は熱い海のまち

 

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熱海駅におりると、反対側に伊豆急の黒船電車が止まっていた (画像は別日に撮影したもの) 。寄り道したいところであるが、今回はまだ道が長いため断念。昼食を調達することにした。

 

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次になるのは普通列車島田行き。昔は東京でもよく見た211系。少し懐かしく感じた。

ところで、ここからは地獄の静岡区間だ。ロングシートが続く。また、速達列車が存在しない (新幹線はあるが) 。トイレがある車両とない車両がある。トイレについては運である。今回はハズレである。島田行きであるが、後続列車の都合で興津まで乗ることにした。

 

熱海を経つと長いトンネル区間に入る。途中、函南、三島に停車。三島では新幹線と乗り換えできるが、青春18きっぷにそんな権利はない。ところで、鉄道唱歌に三島は出てくるが、この三島駅は現在と異なる駅である。

 

次の停車駅は沼津。ここで御殿場線と再会する。

 

沼津の海に聞こえたる 里は牛伏我入道

春は花さく桃のころ 夏はすずしき海のそば

 

この辺りから車窓に富士山が見えるはずであるのだが、残念ながら生憎の天気で見えなかった。

 

列車は早くも興津駅に到着。2回目の乗り換えである。

 

3. 世に名も高き興津鯛

 

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ガチャの結果はアタリだ。トイレが付いている。この列車で、ひたすら浜松を目指せば良いのだ。

興津駅の時点で既に静岡市であるが、列車は中心駅である静岡に到着。新幹線の乗り換え案内がある。ああ、ここで乗り換えるとどれだけ早くつくのだろうか。

列車はひたすら進む。雨が降っていたが、いつのまにか雨は止んでいた。金谷で大井川鉄道と乗り換えられる。いつか乗りたい。

列車は菊川駅に到着。菊川といえば、東海道新幹線から茶畑にある「菊川市」という看板が見えるのが印象深い。今回は見えないが。

列車は掛川に到着。ここでも新幹線の案内がされる。乗れないけど。

袋井と磐田の間に御厨駅があるが、当時はまだ開業していない。

列車は早くも天竜川を越えた。富士川は雨、大井川も雨であったが、天竜川は曇りであった。

天竜川を越えると、もうそこは浜松である。地獄の静岡区間はここで終わり。とはいえ静岡県はもう少し続く。静岡県がいかに長いか思い知らされる。

 

4. 琴ひく風の濱松も

 

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浜松駅には既に次の列車が止まっていた。普通列車岐阜行き。一気に3県を移動できるが、この列車には豊橋まで乗ることにする。

 

浜松を出ると、列車は浜名湖を通る。この区間、隣には東海道新幹線が走る。弁天島では駅に列車が停車すると、後ろから新幹線が高速で走り去っていった。新幹線、速い。

 

新所原駅を出ると、すぐそこが県境である。長かった静岡県が終わった。

 

愛知県最初の駅は二川である。次は豊橋。大きな駅に到着した。

 

5. 豐橋おりて乘る汽車は

 

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ここからは新快速大垣行きで、一気に岐阜県まで突入する。久々の速達種別。駅を通過するのは鴨宮以来だ。次々と駅を通過する。爽快である。

 

列車は三河安城も通過する。三河安城といえば新幹線駅である。新幹線に対し、若干の優越感に浸ることができる。実際はそんなに優越感を感じなかったが。

 

刈谷、大府に停車し、列車は金山に到着。東京で別れた中央本線と再会する。列車は尾頭橋を通過し、名古屋に到着。言わずもがな、大きな駅である。とはいえ、降りる間もなく列車は出発。名古屋のきしめんが食べたいが、それは今度にお預け。

 

名古屋を出ると、列車は尾張一宮に止まり、木曽川を越え、岐阜駅に到着。木曽川で県境を跨ぎ、岐阜県に突入した。

 

岐阜から先は、終点まで各駅に止まる。西岐阜、穂積、終点大垣に到着した。

 

6. 父やしなひし養老の

 

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山越え区間に突入した。大垣は運転上の拠点駅であるが、これはこの先の山越えに備えるためであったそうだ。大垣駅では乗り継ぎの時間が短かったが、無事に乗車できた。

 

朝東京を出発したのに、既に陽は傾いていた。

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有名な古戦場、関ヶ原岐阜県最後の駅となる。山越えをし、柏原に到着すると、もうそこは滋賀県である。近江長岡、醒ケ井にとまると、列車は米原に到着した。

ここで、JR東海区間が終わった。

 

7. 山はうしろに立ち去りて

 

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だいぶ暗くなってきた。次になるのはJR西日本の看板、新快速播州赤穂行きだ。新快速のラスボス感、半端じゃない。

彦根城を一瞬拝みしばらくすると、列車は草津に到着。ここから先は複々線区間である。大津を過ぎると逢阪山を越え、山科に到着。ここで京都府に入った。

 

山科を出て、列車は京都に到着。この頃には帰宅ラッシュに巻き込まれ、車内は混雑してきた。京都を出ると、新快速は爆走する。次々と普通、快速列車を追い抜いていくのは圧巻だ。気付いたら大阪を越え、尼崎にいた。東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県滋賀県京都府大阪府を通り、ついに目的地・兵庫県に突入した。

 

列車は芦屋、三ノ宮にとまり、ついに神戸駅に到着。長かった東海道本線を完乗した。

 

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東京から589.340km、走破した。

 

とはいえ目的地は神戸駅ではない。有馬温泉だ。ラストスパート、北上する。

 

8. 神戸は五港の一つにて

 

高速神戸から新開地へ、新開地で乗り換え有馬口へ、有馬口からは一駅、有馬温泉に到着。今日の旅路はここまで。すっかり日も暮れたが、今日の宿、有馬ロイヤルホテルに到着。チェックインし、温泉で癒しの時間を過ごした。

 

おもへば夢か時のまに 五十三次はしりきて

神戸のやどに身をおくも 人に翼の汽車の恩